レアメタルの用途と定義

レアメタルは、自動車や航空機、産業機器、電子機器、家電製品などに微量に含まれ、現代社会に欠かせない元素の総称です。

経済産業省(旧・通商産業省)の定義によると、

リチウム(Li)、ベリリウム(Be)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、セレン(Se)、ルビジウム(Rb)、ストロンチウム(Sr)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、パラジウム(Pd)、インジウム(In)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、セシウム(Cs)、バリウム(Ba)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、白金(Pt)、タリウム(Tl)、ビスマス(Bi)の30元素と、レアアースの17元素。

現在は「レアメタル・レアアース等」と表記され、47元素以外の元素も含んでいます。

レアメタルって、結局何のこと?

経済産業省の定義では、レアメタルは47元素と、さらにいくつかの元素を含む可能性もあるということです。「47元素+α」という曖昧な定義は嫌だと思われるかもれませんが、産業界の実情ではこのような表現しかできないでしょう。

レアメタルって、結局何のこと?1955年にレアメタルという言葉を日本に持ち込み、定着させた唯一の専門メディアのアルム出版社がお答えしましょう。

レアメタルは、産業で使用される金属元素などの資源のうち、一般に馴染みのある鉄、ベースメタル(銅、鉛、亜鉛、スズ、アルミニウム)、貴金属(金、銀)をのぞいた、その他のもの。つまり、数学の用語でいうと、レアメタルは全体(U)からいくつかの要素をのぞいた補集合のことです。

全体      産業で使用される金属元素などの資源

要素      鉄、ベースメタル、貴金属の馴染みのある元素

レアメタル   その他の元素

レアメタル = 金属元素などの資源 – 馴染みのある元素

レアメタルは産業や市場の状況で移ろいゆく

レアメタルは、産業で使用する元素や馴染みのある元素が何になるかによって決まり、産業や市場の状況によって移ろいゆくわけです。たとえば、ニッケルなどがベースメタルとなって、レアメタルの定義から外れることはありえるわけです。

アメリカや、ヨーロッパでは、資源の採掘、製錬などの供給リスクや、産業などの重要性をもつ元素を「クリティカル・ミネラルズ」と定義しています。日本でも、同様の元素を「クリティカル・メタルス」と定義するなどの動きがあり、よりわかりやすい表現に変える試みと言えるでしょう。